きみに想う 〜赤の民族〜
雫は横になったまま動かない海斗を揺する

「海斗!海斗!しっかりして」

揺すられても起きない海斗

貴族らを一斉に片付けた青の部隊隊長の

桃矢が雫の元に駆けつける

「馬鹿ヤロウ!
オレの話しを聞かずに飛び出して行くからこうなるんだ」

海斗を叱りつけ、雫に向き合う桃矢

「大丈夫だ、死んでない。簡単に死ぬヤツじゃない」

桃矢が担ぐようにして海斗を持ち上げ

雫は後ろをついていくようにして

部屋へと運び込んだ

ベッドに海斗を寝せ

医師に診せ終えた後

雫は桃矢に引き止められた

「あんたが雫だな?」

「はい」

「俺は、ずっとこいつを育ててきた」

桃矢は静かに眠る海斗を見る

「こいつはずっとあんたを忘れなかった
執念といっていい程に。オレにとってこいつは弟みたいなもんなんだ。だから頼むなこいつを」

ポンポンと雫の肩に触れ

桃矢は残りの仕事に戻った

「みんな海斗を心配してるよ?
だから早く起きてよ…」

雫はベッドの横に座り

顔を海斗に寄せた

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