きみに想う 〜赤の民族〜
海斗が倒れてから

今までにあったこと

父の死、王が変わったこと

それにより、タヤル族は一民として認めらたことを全て話した

「俺、かっこわりぃな
結局なんにも出来なくて、陸にすべてもってかれて」

雫に背を向けるようにして

横向きになる海斗

「強くなりたいと思ってた…
だけど何も出来ないまま終わったんだな」


雫はポンと布団の上から

海斗に触れて

静かに部屋を出て行った

海斗は

自分が寝ている間に全てが終わっていることが

現実味がなくどこか他人事に思えた

鉛のような身体を早く直し

外の世界に行こうと心に誓い

あの日のことを思い出していた


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