きみに想う 〜赤の民族〜
海斗はじっと天井を見つめている

結局、村に来ても

魔力がなければ、役立たず

生きていたけど

何も出来ない

出来なかった

自分に嫌気がさす…

眠ったつもりはないが

目を軽く閉じ、開くと赤い髪の小さな女の子が

自分を覗き込むように

丸く可愛らしい目でじっと見てくる

「そんなに自分を責めないでお兄ちゃん」

「えっ?」

まだ小さな女の子が海斗の手を握りぱっと離す

「ママー!お兄ちゃん起きたからご飯〜」

次の瞬間には何事もなかったかのように

子供らしくご飯と叫び部屋を出て行くと同時に

雫がご飯だよと呼びに来る

「あの女の子何者?」

「凛子?あの子、人の心が読めるの。何か言われた?」

「いや、妙に大人っぽいこと言うから
びっくりした」

「凛子の母、珠留のご飯は絶品だよ!いっぱい食べてね。海斗」

食卓には暖かそうな色とりどりの食べ物が並んでいる

海斗は珠留に促され

珍しいものまで食べて、笑顔もあった

心は晴れぬまま

そんな海斗に雫は月が良く見える高台に誘い連れ出した
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