きみに想う 〜赤の民族〜
「今日は三日月だね…」

空気が澄んでいて

星が月が良く見える綺麗な星空の下

雫に手を引かれて

海斗は大きな石の上に雫と並び座る

「ここわたしのお気に入りの場所なの」

「そうか」

海斗はそっけない返事しか返せなかったが

雫は月を見上げ

赤い髪をさらっと風が揺らす

「海斗!わたしは海斗に謝らなくてはいけないことがいっぱいある。海斗が生死に直結する傷を負ったのも、海斗の家族を狂わせたのも、すべてわたしに会ったせいだ…ごめんなさい」

雫は海斗に向き合い

立って深くお辞儀をする

「だけど、わたしは海斗に逢えたことを無かったことにしたくない!これからも海斗から離れたくない!」

顔を上げた雫が不安気な表情で海斗から

視線を外すと

海斗も立ち上がり

雫の腕を引っ張り

自分のほうに引き寄せ

軽く抱きしめる

「そんなこと言っていいの?」
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