恋する僕らのひみつ。
「結雨ー?そろそろ起きなさいよー?」
部屋の向こうで、お母さんの声が聞こえた。
お母さんはいつも通り、あたしの部屋の前に立って呼びかけているに違いない。
だけどいま……あたしは、自分の部屋にいない。
湊の部屋にいる。
あたしはむくっと起き上がり、布団の上に座った。
あたしに背を向けたまま眠っている湊を見つめながら、ふと思った。
あれ……?
もしかして……この状況ってすごくヤバくない!?
別にあたしたちの間に何も起きてないけど、てか起きるわけもないけど。
だけど、湊と一緒に寝てたらおかしいよね?
この光景を見たら、お母さんはヘンな誤解するよね?
事実を話しても、信じてもらえるだろうか。
何か言い訳を考える?
昨日泣きすぎたせいか、頭が重たくてボーッとして、冷静に考えられない。
どうしよう、どうしよう。
「結雨ー?起きなさーい?入るわよぉ……あら?部屋にいないじゃない」
……ヤバい。
本当にヤバい。
お母さんはたったいま、あたしが自分の部屋にいないことを確認した模様。
「湊っ!起きて、湊っ」
小さな声で呼びかけながら、あたしは湊の体を揺さぶる。
「……んー?なんだよ……もう朝か……?」
湊は寝ぼけた様子で目をこすりながら、あたしの顔を見る。
「ねぇ、どうしよ!お母さんに見つかるっ」