恋する僕らのひみつ。


「えっ?ちょっ……」



もがくあたしを抱き締めたまま、湊は小さな声で言った。



「いいから黙って抱き締められとけ」



いや、あの……

黙って抱き締められとけって言われても……。



ここ学校の廊下だよ?

周りの生徒たちに見られてるよ?



恥ずかしくて、どうしようもないんだけど。



「ねぇ、一体なん……」



そう言いかけたとき、湊はあたしの耳元で言った。



「向こうから俺たちのこと見てる」



「……誰が?」



「アイツに決まってんじゃん」



「え?アイツって……まさか二階堂先輩?」



「ん……だから見せつけてやるよ。アイツに」



「湊……」



「妬かせたいんだろ?」
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