恋する僕らのひみつ。



「あ、校内1のイケメンと美少女~」



その3人組のひとりの男の子が、ニコッと笑ってあたしたちを指を差した。



一瞬で思い出される悪夢。



この呼び方、もう笑いのネタとしか思えない。



高1のときの文化祭のせいで。



あの意味不明なイベントのせいで。



「その呼び方、恥ずかしいからやめて……」



あたしが苦笑いで言うと、その男の子はくしゃっとした笑顔を見せて言った。



「あーごめん、ごめん。1年の文化祭のときの印象が強くってさ」



そうでしょう。

そうでしょう。



あの文化祭の意味不明なイベントのせいで、



湊とあたしは、全校生徒に名前と顔が知れ渡ってしまったのだから。



「あたし、一色結雨。こっちは幼なじみの朝霧湊」



「へぇ。ふたりって幼なじみなんだ?俺は扇原快。よろしくっ」



彼の名前は、扇原 快(おうぎはら かい)くん。



扇原くんは背がスラッと高くて、180センチ近くありそう。



日焼けした健康的な小麦色の肌。



短めの黒髪。



目尻のさがった目、歯並びのいい大きな口。



ニコニコと明るい表情の、爽やかな雰囲気の男の子だった。
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