恋する僕らのひみつ。



「おう」



「待った?」



そう言ってあたしは、ニコッと無理に笑って見せる。



「いや」



湊は少しだけ微笑んで、エレベーターのほうに向かって先に歩きだす。



あたしが無理に笑顔を作ったことくらい、



きっと湊は、お見通しなんだろう。



立ち止まったまま前を歩く湊の背中を見つめていると、湊はくるっと振り返った。



「なにしてんだよ?置いてくぞ」



「あ、うん」



あたしは湊のもとへ駆けていく。
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