恋する僕らのひみつ。
どうして1年の夏で、快は野球部をやめてしまったんだろう。
黙りこんだままの奈乃と琥都の様子からして、何かあったのだと感じた。
「このまえ、快たちが廊下で話してんのたまたま聞いたんだけど……」
横になって寝ていた湊が、いきなり口を開いた。
「あいつ、野球部に戻ってこいって言われてた」
湊は寝転がったまま話を続けた。
「なんか、快がやめたあとエースになったやつ、肩ケガしたらしい。そいつ、夏の大会には出られねぇんだってさ」
湊の話を聞いた途端、琥都が寂しそうな表情でつぶやく。
「快のやつ、その話なんで言わないんだろ」