恋する僕らのひみつ。



できれば悩みを抱えたくないし。



できるだけ傷つきたくもない。



毎日を楽しく笑って過ごせたらいい。



だけど、人生ってそんなに思い通りにいかない。



周りの大人からみれば、いま“青春”のときを過ごしているあたしたちだけど。



別に、何か特別だなんて思わない。



青春なんて、そんなキラキラしたもんじゃない。



ありふれた毎日を過ごしてるだけで、きっと……こうしてただなんとなく。



“青春”ていう名のものを通り過ぎるんだと思う。



「何か1つでいいからさ。みんなが卒業するとき、これだけは全力で頑張ったって胸張って言えるものが1つでもあればいいなと、先生は思う」



いまあたしが頑張ってることってなんだろ……?



全力……。



恋……?



あたしが頑張ってることって、思いつくのは恋しかないや。



「楽しい思い出、一緒にたくさん作ろうなっ」



そう言って先生は、あたしたちに満面の笑みを見せる。
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