恋する僕らのひみつ。



「おいおいおい、いまウザいって言った?」



先生の質問に、湊は机に頬杖をついて「うん」と応える。



――パシッ。



反抗的な湊の頭を、あたしは後ろから思い切り叩いた。



「イッて……なんで結雨が殴んだよ?」



湊は両手で頭を抱え込む。



「オホホッ、湊って寝起きだと機嫌ちょー悪いんですよぉ。すみませんね、先生」



湊のかわりに、あたしは満面の笑みで先生に謝った。



先生は顔を背けて笑いながら、あたしが叩いた湊の頭を優しく撫でてあげていた。



「先生なぁ、高校のとき親友によく言われてたんだよな~ウザいって。つーかおまえ、俺の高校時代の親友に似てるな!」



「は?そんなん知らねぇし」



寝起きで不機嫌な湊の態度にも、ちっともめげないくぼっち先生に、クラスのみんなはクスクスと笑っていた。
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