恋する僕らのひみつ。



―――――――……



夜の11時を過ぎたところだった。



俺はジュースの入ったペットボトルを片手に、自分の部屋からベランダに出る。



涼しい夜風を感じながら、俺はベランダの手すりにもたれかかった。



すると、マンションの前の道を歩いている結雨の姿を見つける。



「あのバカ……っ」



俺は慌てて部屋に戻り、ペットボトルを布団の上に放り投げて、部屋着のまま家を飛び出した。



エレベーターを待たずに、俺は急いで階段を下りていく。



あいつ……自分が女だってこと忘れてんのか?



こんな夜にひとりで外に行くなんて……。



隣に住んでんのに、なんで俺を呼ばないんだよ。



マンションの下におりた俺は、前の道をゆっくり歩いている結雨に向かって叫んだ。



「結雨っ」



俺の声に、結雨は立ち止まった。
< 733 / 888 >

この作品をシェア

pagetop