恋する僕らのひみつ。



振り返った結雨のところに走っていく俺は、そのまま結雨を抱きしめた。



「バカなの?おまえ」



結雨を強くぎゅっと抱きしめる。



「……湊……どぉして」



俺の胸もとに顔を押し付けたまま、結雨は小さな声で言った。



「こんな時間にひとりでどこ行くんだよ?襲われたらどーすんだバカ」



心配させんなよ……。



結雨は俺の背中に手をまわすと、俺の服をつかんだ。



「湊……」



「ん?」



「これからどっか行かない?」



俺がそっと結雨を離すと、結雨はすぐにうつむく。



結雨の小さな頭をなでたあと、俺はその場にしゃがみこんで下から結雨の顔を見上げた。



「なにかあったのか?ん?」



俺は結雨の手をとり、優しく握りしめる。



結雨は唇をかみしめて、いまにも泣きそうな顔をしていた。



「湊……朝まで一緒にいて……?」
< 734 / 888 >

この作品をシェア

pagetop