恋する僕らのひみつ。



「だから雨の中ひとりで歩いてたのか?傘もささないで……ったく」



「……湊だって傘ないじゃん」



「おまえ見つけんのに、それどころじゃねーよ」



ふたりして、ずぶ濡れだね。



ごめんね、心配かけて。



傘もささずに、必死に。



あたしをさがしてくれて、ありがとう。



「泣き虫」



「……っ、泣いてないよ」



「……おまえ、おばさんの前で泣きたくなくて病室に来なかったのか?」



なんで……?



なんで全部わかっちゃうの……?



だからどんなにムリして強がっても、結局ダメで。



湊の前では弱くなっちゃうんだよ。



「今日だけ……。思いっきり泣いたら、もう泣かないから……」



お母さんの前では笑っていたいから。



悲しい顔ばかり、泣いてる姿ばかり見せたくない。



「そんなに頑張んなよ」
< 848 / 888 >

この作品をシェア

pagetop