恋する僕らのひみつ。



あたしは首を横に振る。



「頑張んなくちゃダメなの」



湊は優しい瞳であたしを見ると、小さなため息をついた。



「俺たちも空と同じでいいじゃん」



「空……?」



「晴れたり、雨降ったり、曇りや雷、雪とか……ときどき虹もかかる」



晴れの日があって。



雨の日、曇りの日もある。



雪だって降る。



雷が鳴るときも。



ときどき虹だってかかる。



――湊は言ったんだ。空と同じでいいって。



笑顔のときもある。



泣きたいときもある。



切ないときもあって、うれしいときもある。



怒ったり、喜んだり……。



あたしたちも、空と同じように……。



「でも……でもね、あたしお母さんと……」



約束したの。



『ねぇ、結雨。今日は二度と戻ってこないから』

『泣いてばかりじゃなくて、笑うことも忘れないで?』



お母さんに、つらい思いさせたくないの。



約束したから……。



「おばさんの前で頑張んなきゃなんねぇなら、せめて俺の前ではムリすんな」



「……湊」



「本当は泣き虫のくせに、ひとりで頑張ろうとすんなよ」



「……ん……ううっ……」



「ひとりじゃねぇから」
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