静かな涙
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目覚ましの音で目が覚ます。
眠たい目を擦りうざったい音の根元を強めにばんっ!と叩く
重い瞼を擦り付けながら上半身を起こしぼーっと携帯を見る。
今日は仕事は休みじゃないか。
少し急いで起きたことを後悔しつつまた横になる。少しうとうとした頭で考え事をした
というか…懐かしい夢を見たものだ。
私も私が思った以上に引きずるなぁ…
あのまま、夢の中でじゃなく現実でも幸せだったら良かったのになぁ
無意識に口元が緩んでしまう
でもその笑顔は他の人から見ても嬉しそうな笑顔とは違っているのが分かるであろう、そんな遠い思い出を頭の中で思いだし懐かしくなったようなそんな微笑みだ。
私は今彼は何をしているかとかは普通に知っている、でも今どんな気分かとかどんな風に容姿が変わったか、とかは分からない
もう前の私と彼の関係ではないのだから
…寝よう。
布団を自分の身体に掛け寝ようとすると
「えりか」
そう聞こえた気がして、一気に目が覚めてばっ!と横になったまま隣を見る
でも、目に映ったのは余分に余ったベッドのスペースだけ。そこには何も居ない、居るわけが無いのだ。
「好きだよ」
彼の言葉を思い出した
私はその何もないスペースに向かって意味もないのに小声で一人で答えた
「私は今でも大好きだよ」と
無意識に瞳から流れるモノ
この小さな部屋の中で私一人だけがその正体を知っている