工業高校のイケメン達に愛されて【上】
「緋奈ちゃん無理いってごめんね。ありがと。…それじゃ、行こうか。」
「いやいやっ!大丈夫だよ!いこ!」
少し眉を下げてあたしにそう言った坂口くん。
あたしも一緒に帰りたいなって思ったもん。
そんなに気を使わなくてもいいのに。
けど、物腰柔らかくて優しい坂口くんらしいなと思った。
背が高くて脚も長い坂口くんは、絶対にあたしより早く歩けるはずなのに、駅までずっとあたしの歩調に合わせて歩いてくれた。
駅までは徒歩で5分くらい。
ふたり並んで他愛ない世間話を交わしながら、駅まで向かった。
「わあ…すっごく駅混んでる…。」
改札を通り抜け、ホームへ着くと、あふれんばかりの人、人、人。