工業高校のイケメン達に愛されて【上】
そ、そうだよね…。
時刻は7時、ちょうど帰宅ラッシュの時間だ。
普段この時間に電車に乗らないから、想定外だった。
朝の時間帯と同じくらい、人だらけ。
全然、そんなこと考えてなかった。
「あ、坂口くんは、どこまでいくの?」
「あー、緋奈ちゃんの家の最寄駅…かな。」
あたしの家の最寄り駅?
その駅は特に栄えているわけではなくて、コンビニとか居酒屋さんとかしかまわりにないんだけど…。
うーん、友達にでも会うのかな?
「だから、緋奈ちゃんをお家まで送っていくよ。」
人混みをかき分けながら、坂口くんが意外な言葉を発したので、あたしは目を見開いた。
「え!?そ、それは申し訳ないよ。坂口くんの帰りが遅くなっちゃう…。」
「俺は大丈夫。緋奈ちゃんが安全に帰れれば、俺も安心するから。」
「……っ」
坂口くん、なんでそんなに優しいの…。
まるで仏様…。