工業高校のイケメン達に愛されて【上】
こ、ここは、坂口くんのお言葉に甘えた方がいいのかな。
少し顔が熱くなっているのが自分でもわかって少し俯いたけど。
あたしの前を歩いている坂口くんには、もちろん気づかれていなかった。
「次の電車、もう着くね。」
「そうだね。人が多いから、俺から離れないようにね。」
あたしは背が低いから、ひとりだったらあっという間に人の渦に飲まれてたと思う。
まだ、慣れてなくて朝もいつも人混みに流されないように必死だもん…。
坂口くんが前を歩いてくれていたおかげで、すぐに車両に乗る列にあたしたちも並べた。
…なんだか、頼りになるなぁ。
もしお兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかな。
そんな風に考えて、ふふ、と少し笑っていると、すぐに電車が着いた。