工業高校のイケメン達に愛されて【上】
ふわりと微笑みながら、あたしの頭を撫でてくれる坂口くん。
うう、朝はいつも満員電車だけど夕方のこの電車には乗ったことがないから、慣れていない。
行きだけでなく帰りも人混みの電車に乗って帰るのは、体力消耗しそうだ。
朝よりは、人混みは少しはマシかもしれないけれど…。
でも…身動きが取りづらいのでやっぱり朝と同じ、満員電車ってやつかも。
ああ、早く降りたい。
耐えろ、耐えろ。
____と思った次の瞬間。
車内が激しく揺れて、人々もその振動で大きく揺れて…。
「きゃあっ!?」
あたしの方に人の波が押し寄せて来て。
「うわっ!」
坂口くんもあたしの方に押し寄せて…その反動なのか、気がついたらあたしの腰と後頭部に、坂口くんの腕が回っていた。
え、え…?!
「坂口く…っ」
「緋奈ちゃん、ごめん…っ」
なんて、坂口くんは謝ってくれるけど。
どどどっと、まだ車内は揺れ続けていて、身動きがとれない。