工業高校のイケメン達に愛されて【上】
細くて、やわらかくて、いい匂いがして。
緋奈ちゃんという女の子が、俺をあっという間に夢中にさせたような感覚。
こんなのは初めてで。
…中学時代は、告白されることが時々あった。
その理由は、俺が優しくしてくれるからっていう子がほとんどで。
その子たちに特別な感情を抱いていたわけじゃないから、そう言われてもいまいちピンと来なかった。
異性を好きになったことがなかった俺は、緋奈ちゃんへの自分の感情に正直戸惑った。
緋奈ちゃんには…優しくしたい。
俺は…緋奈ちゃんと一緒に過ごせる高校生活が、なんだか楽しみになったんだ____。
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「あっ…坂口くん。駅、ついた…。」
緋奈ちゃんの言葉でハッと我に返った。
満員電車の扉が開く。
ここが緋奈ちゃんの降りる駅らしい。
この駅に来たのは初めてだ。
「行こう。緋奈ちゃん。」
こんな人混みの中はぐれると大変だから、俺は改札を出るまで緋奈ちゃんの腕を引いて歩いた。
余計なお世話かもしれないけど…。