工業高校のイケメン達に愛されて【上】
改札を抜け外に出ると、外はもうあっという間に真っ暗。
人がたくさんだった駅内を出ると、ロータリーはそこまで混んでいるわけではなくて。
「あっあの、ここまで送ってくれてありがとう。坂口くん、この駅に用事があるんだよね?」
「えっ。あぁ、うん…」
本当は緋奈ちゃんを送り届けること以外、特にこの駅に用事なんてないんだけど。
ただの口実だったんだ。
「ここからは、ひとりで大丈夫だから。本当にありがとう!またあした…「ちゃんと家まで送るから。」
緋奈ちゃんが話し終わる前に俺が遮った。
なんでかわかんないけど、どうしても譲りたくないんだ。
すると、緋奈ちゃんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「えっ…でも、悪いよ。あたしの家すぐそこだし。それに、坂口くん用事があるんじゃ…?」