工業高校のイケメン達に愛されて【上】
こんなの、むしろおせっかいと思われてもおかしくないのに。
気持ちはすごく嬉しいけど、手を横に振って遠慮する素振りを見せた。
「大丈夫大丈夫。いらないよ。俺が送りたかっただけなんだから。部屋まで気をつけて帰りなね。」
「うん!ありがとう…って、気をつけてってそれはあたしのセリフだよ!」
なにいってるの。って、緋奈ちゃんが綺麗な笑顔を浮かべた。
その笑顔に、俺の心臓はドキンと高鳴った。
鼓動が早くてうるさい。
「お母さんが待ってるから、今日は帰るね。ありがとう。またあしたね!」
「うん、またあした。」
去り際に緋奈ちゃんはもう一度俺に笑いかけてから、別れを告げた。
俺もにこりと笑い、手を振った。
緋奈ちゃんは俺に背を向け小走りでマンションに入っていき、あっという間に姿が見えなくなった。