工業高校のイケメン達に愛されて【上】
「…さーて、俺も帰ろう。」
緋奈ちゃんの姿が見えなくなると、俺は踵を返してもう一度同じ道を歩く。
緋奈ちゃんを家まで送れてよかった。
入学式のあの時…緋奈ちゃんを抱きしめた時より、俺の心臓はうるさい。
緋奈ちゃんの笑顔にクラッときてる。
笑うと少し幼くて、愛らしい彼女の笑顔は。
一度見たら、忘れられない。
初恋は、戸惑いばかりだ。
…あの時、いやらしい男から緋奈ちゃんを守るって約束したのに。
俺もその男たちとたいして変わらないんじゃないか。
少し、自嘲気味に。
笑みを浮かべて俺は緋奈ちゃんの自宅をあとにした。