工業高校のイケメン達に愛されて【上】
彼が一人でずかずか歩いていたくせに急に止まるから、あたしの顔が彼の背中に直撃した。
「ぶっ…な、なんで急に止まるの!」
ぶつかった鼻が痛くて、繋がれていない方の手の指先でこする。
滝本くんにはそれには返事をしてくれず。
立ち止まった滝本くんがゆっくりと振り返って。
「…なんだよ。そんなに嫌なのかよ。」
むすーっとしてて、ちょーっと赤い顔で、あたしの顔を覗き込んでそう言った。
いつものいたずらっぽくてぶっきらぼうな表情とは違う。
…このとき、ちょっとかわいいって、思ってしまって。
少し…胸がきゅんとしてしまった。
「あ、いや、嫌ってわけじゃあ…」
嫌な思いさせたかも…なんてあたしも焦って、思わず大慌てでそれを否定する言葉を返した。