工業高校のイケメン達に愛されて【上】



彼が一人でずかずか歩いていたくせに急に止まるから、あたしの顔が彼の背中に直撃した。



「ぶっ…な、なんで急に止まるの!」



ぶつかった鼻が痛くて、繋がれていない方の手の指先でこする。


滝本くんにはそれには返事をしてくれず。


立ち止まった滝本くんがゆっくりと振り返って。



「…なんだよ。そんなに嫌なのかよ。」



むすーっとしてて、ちょーっと赤い顔で、あたしの顔を覗き込んでそう言った。


いつものいたずらっぽくてぶっきらぼうな表情とは違う。



…このとき、ちょっとかわいいって、思ってしまって。


少し…胸がきゅんとしてしまった。



「あ、いや、嫌ってわけじゃあ…」



嫌な思いさせたかも…なんてあたしも焦って、思わず大慌てでそれを否定する言葉を返した。


< 241 / 377 >

この作品をシェア

pagetop