工業高校のイケメン達に愛されて【上】
「あ…ご、ごめん…っ!」
中村は慌てた様子で制服の袖で涙を拭った。
…なんて、綺麗なんだろう。
泣いている女を見てそう思うのは…やっぱ失礼なのだろうか。
「ごめんね相葉くん…っ。あたし、嬉しくて…っ!」
嬉しい…?
なんで俺なんかと友達になれただけで、嬉しいんだ。
俺の知ってる女とは違う、本当に…変な女だ。
無意識に、中村の頰に手を添えた。
柔らかい…。
「相葉くん…?」
また、大きくて綺麗な瞳が俺を捉える。
目が合うと、俺の鼓動も速くなる。
戸惑いがちなその表情に、俺の中でなんともいえない高揚感が生まれる。
…これは、“友達”に対する感情なのか…?
すぐ笑ったりあせったり泣いたり、中村はとんでもなく忙しいやつだ。
でも俺も中村に対しては、ドギマギさせられたり申し訳ないと思ったり…綺麗だなんて思ってしまったり、感情が忙しいと思う。