工業高校のイケメン達に愛されて【上】
なんだか胸がきゅうってなって、複雑に感じた。
でも全然、悪い意味じゃない。
滝本くんはというと、さっきまでむすっとしてた赤い顔はどこへやら。
すっかり消え去っていて、余裕の表情へと変わっていて。
そして、いつも意地悪でぶっきらぼうな滝本くんとはうってかわって、男の子っぽい力強さがあってどこか強引で。
またあたしの手を引いて、歩き出す。
不思議と嫌だと思えない自分がいる。
…心臓が、うるさい。
お願い、止まって…。
なんて、そう願ってもドキドキはうるさいままで。
滝本くんはわざわざあたしの家まで送ってくれたんだけど、あたしは終始上の空で、このあとのことは頭の中の記憶からぽーーんと抜けていた…。