工業高校のイケメン達に愛されて【上】
「うう…わかんない…」
ぼそりとつぶやいて、ガクッと肩を落とす。
どうしよう…これじゃわからないまま授業終わっちゃうよね。
先生に聞こう…!
あたしが恐る恐る手をあげようとすると。
「…緋奈ちゃん、わかんないってこれ、キーボードの早打ちだよ?」
すると右隣から、小声で向田くんがそう教えてくれた。
「えっ?」
「えっ?って緋奈ちゃん…一番初めの授業だから、今日はただキーボード慣れするだけだよ。教科書のページそこじゃないって。」
あたしは向田くんの方を向いて何度か瞬きを繰り返した。
う、うそ。
教科書、ここのページじゃなかったんだ。
どうりでよくわからない数式みたいな単語がたくさん並んでいるはずだ。
今日はこれを覚えなくて大丈夫なんだ、と安堵した。
同時にいつかはこれを勉強するんだ…って不安に思ったけど。
「あ、ありがとう。向田くん。」