鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
指定の場所に着く前に、立ち止まってしまったらしい女の子。
瀬田君は、手を伸ばした。

「ほら」

彼に優しく声をかけられている、あの子が羨ましい。
恥ずかしがっているのか、ふるふると頭を振っている。

「おいで、大丈夫だから」

「うん……」

わ! おいで、だって。
言われたいよ、わたしが。

瀬田君は、女の子をエスコートして自分の隣に立たせた。
うつむき加減の彼女の背中を、優しく撫でている。
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