鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
「顔を見せないと採点できないぞ?
ヴェールを上げろ!」

「何か言うか、何かしろ~!」

会場のどこからか、野次が飛んだ。
ヴェールを上げない女の子に、ほかにもいくつか、強い口調で言葉が投げられる。

確かに、未だに彼女はヴェールを下げて、うつむいたままだ。
まぁでも、カッコいい瀬田君の横でウエディングドレス姿で顔を晒すだなんて……。
絶対見劣りするし、女としては恥ずかしいだろうな。

わたしはちょっと、女の子に同情した。

「あ~、すみません、うちの嫁は恥ずかしがりなんです。
あんまりいじめないでいただけます?」

瀬田君は、彼女を庇うように言った。
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