鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々

「行っておいで？」

「ほら、行くぞ？」

鈴木さんが背中を押して、瀬田君が手を引いて。

「あ、ちょっと……」

真っ赤な顔の立花さんは、舞台へ引っ張られて行ってしまった。

「全く、手間のかかる子なんだからっ！」

鈴木さんが、腰に手を当てながらやれやれ、と独り言を言っている。
口調とは裏腹に、瞳は優しい。

立花さんと鈴木さんは、中学の頃から親友らしい。
あたしは愛ちゃんと親友だけど、高校で同じクラスになってからだから、それより長く親友をしている二人が、羨ましいと思う。
親友は期間で絆が変わるとか、そんなわけじゃなけれど。
一緒の時間を今まで沢山過ごして来たんだな、と思うとやっぱり羨ましかった。