鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
会場も司会も、大いに湧いている。
目の前の鈴木さんは腕を組んで、じぃっと舞台上の瀬田君を睨んでいる。

「ま、まぁまぁ……落ち着いて、鈴木さん」

ね?
と、愛ちゃんが鈴木さんに声をかける。

「ふふふ、わたしは落ち着いているわよ、桃瀬さん。
冷静に、瀬田君をどうしてやろうか考えているところなのよ」

瀬田君はコンテスト本番の時のように、硬直する立花さんを抱えて舞台袖に引き返してきた。

「来やがったわね……?
ゲロ甘変態溺愛野郎……」

「……」

鈴木さんは、怒らせちゃいけない。
あたしと愛ちゃんは、この舞台袖でそれを学んだ。

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