鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
「なに?」

長岡君は、ちょっと、とわたしを手招きした。
教室の隅で、こそこそと彼は話し出す。

「あのよ、俺、見ちまったんだよ」

「ん? 何を」

「中川が、その……瀬田に……」

あ、よりにもよって、失恋シーンをクラスメイトに見られていたなんて……。
誰にも知られたくなかったのに、委員長にも、長岡君にも知られていた。
恥ずかしいな……。

「笑っちゃうでしょ……?」
< 204 / 254 >

この作品をシェア

pagetop