鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
「ちょっと家に、荷物置いてくるね。
瀬田、待っててね」

立花さんがカバンを手に、おもむろに立ち上がった。
いいな、瀬田、なんてわたしも呼びすてにしてみたい。
彼に優しい視線を、注がれてみたい。

「……、行こう、由美」

「え?」

加奈子が、カタリと席を立って、わたしの手を握った。

「こんなチャンス、なかなかないじゃない?
もう、聞いちゃおうよ」

「えぇっ?!」

加奈子に連れられて、カウンター前。
わ、瀬田君の後ろ姿だ……。

近くて、ドキドキする……。
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