鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
「そう、1組!
由美って名前だよ、ちょっとね、瀬田君と立花さんがここに入ってくるのが見えたから。
同級生だし、話しかけてみようかなって」

わたしは白々しく、嘘をついた。
可愛いなとは思うけど、立花さんに興味はない。
そして、苗字じゃなくて名前で自己紹介をした。
さっきの立花さんのように、名前で呼ばれるかも、そう思ったから。

「ふぅん?
あ、じゃあ立花がいるときのほうが良かったんじゃない?」

彼は、コーヒーをまた一口、すすった。

「あ、そうだね、ちょっとタイミング間違えちゃったかな?」

ははは、と笑って、ごまかす。
ふぅん? と、瀬田君は綺麗に笑った。
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