私とキスと横恋慕。
「沙々、こっち来い。寒い。」
「………まだ教室なのに。」
口をとんがらせてるが、素直に沙々は俺のそばに来た。
沙々をそっと抱きしめると、沙々も俺の背中に腕を回した。
あったけ。
沙々が冬を好きな理由ってこういうことか。
確かに悪くない。
「あーあ、ずっとこのままならいいのになぁ。」
なにとんでもなくかわいいこと言ってんの、こいつ!
「なんだよ、急に。」
「だってさ…うん。
私は……所詮浮気相手じゃない?」
なんだ
そういうことか…
鈍いってのも時には罪だな。
思い知れ。
俺の感情も
俺自身も全部。
「沙々。上向け。」
上を向いた沙々に俺はためらいなくキスをした。