私とキスと横恋慕。
「あ…」
「どした?沙々。」
「いや、なんでもない。」
平静を装うけど、桐山の手は遠慮なく私の手を撫でる。
どうしよう…
ドキドキして……
怖がるどころじゃない…!
次の瞬間、大きな音と共に目の前がいきなり光り、目がくらんだ。
すぐに暗闇に戻って、何も見えない中、
私の唇に何かが触れた。
あ…
もしかして
今のって…
桐山の方を向こうとしたけど、ぎゅっと手を握られて、
「こっち向くな」って言われたみたいで
向けなかった。
外の光で明るくなる直前、桐山は手を離した。
「結構怖かったなー。」
「…あ、そうだね!人形が落ちてきたのはビックリした…」
桐山はズルい。
私を諦めさせてくれない。
落ちた穴から這い上がろうとする度に
下に引きずり落とす。
なのに、今日で一番嬉しかったのが今だなんて…
癪だ。