私とキスと横恋慕。
男たちは捨て台詞を言い残して観覧車の列から出ていった。
「桐山……ありがとう。」
「…………」
「……っ御岡くんもありがとう!
さすがだね。桐山のこと鶴の一声で止めちゃうんだもん!」
「いやぁ~、それほどでも!ハハっ」
「沙々…ごめんね。
守ってあげられなくて。」
「ばか!なんで美羽があやまんの!
悪いのは向こう。と、ちょっと話に乗っちゃった私だよ。」
「……ありがとう。」
「うん!」
美羽は
桐山が私に触れただけのあの男になぜあんなに怒ったのか
聞かなかった。
気づいてないのか。
気づかないふりをしてるのか。
怖くて私も美羽に聞けなかったけど、
桐山が私を大切にしてくれたことが
今日の一番幸せな思い出になった。