私とキスと横恋慕。
「ホント、桐山って悪いやつだ。
たち悪いよ。」
「そりゃどうも。」
「誉めてないし。」
桐山はなんだか嬉しそうに笑った。
その笑顔がいとおしくってたまらない。
もうだめだ。
昨日の今日だってわかってる。
だけど…だけど……
「っ桐山……」
「ん?」
「好き…です。」
出してしまった言葉はもう戻ってこない。
昨日美羽と別れたばっかなのに、今これを言うのはなんか卑怯だ。
それに……
桐山には好きな人がいて…
涙がこみ上げそうになるのをなんとか抑える。
「ごめ、なんでもない…」
私がそう言って桐山を見ると、
「え……」
桐山は今まで見たことがないくらい優しい顔をしていた。