私とキスと横恋慕。




「ホント桐山って適当!」


「しょうがねぇだろ。

こっちだって舞い上がってんだから。」


「え…」



舞い上がる?

桐山が?



「これでようやくお前と付き合える。」


「……さ、さんざん私にキスとかしてきたくせに!」


「何甘いこと言ってんの。

あれくらいで抑えててやった俺に感謝しろっての。」


「な、なにそれ…」


「俺の正式な彼女になったからには覚悟しとけ。」




桐山があまりにも真面目な顔で言うから、一瞬怯む。



覚悟ってなに!?

まさか今までよりもっとドキドキするようなことするんじゃないよね…?



「あ、エロい想像してる~」


「しっ、してない!!」



私は慌てて桐山の腕を叩く。


それでも桐山はケラケラと目を細めて笑った。


つられて私の口許も緩む。



あぁ、ようやく終わった。

ようやく寒い冬が終わったんだ…




たとえ親友の彼氏でも、

不良でも、私を振り回す俺様でも、

どうしても捨てられなかった恋心。


心の奥底で捨てきれずに残っていた邪なそれは、

ようやく解放された。




その日、

私は横恋慕に終止符を打った。






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