私とキスと横恋慕。
「うっ…御岡くんっ…」
横恋慕が苦しくて仕方なかったとき、私に温もりをくれた彼は
ただ私を利用していただけ…。
そう思うと、涙が目頭に溜まった。
ああ、そっか。
友人を…1人失ったんだ…。
「御岡、もう下がってろ。こいつが泣いてうぜぇ」
「わかった…」
リーダーらしき男が私の髪を引っ張って言った。
「泣くなら電話口で泣け。」
電話?
男はどこかに電話を掛けると、電話口の向こうの相手に向かって話し始めた。
「久しぶりだな。今、俺らの前にいるの、誰だと思う?」
男はニヤリと笑うと、私を見下した。
「かわいいかわいい沙々ちゃん♪」
そして電話が私の口許に寄せられる。
「なんかしゃべれ。」
「っ…うっ…何?誰?」
『沙々?なんで…』
「っ桐山ぁ!うっ…桐山…」
『ってめぇ!飯島!!』
「あんま騒ぐな。うるさくすると沙々ちゃん殴るよ~」
殴るという言葉に体が縮こまる。
電話口の向こう側も静かになった。