私とキスと横恋慕。
昼休みになっても、桐山が近づいてくる気配はなかった。
私はともかく、美羽には話しかけてくると思ったのに。
「沙々って、ちっちゃくて可愛いよね~」
「え、何ー?急に。」
小さい身長は確かにコンプレックスだけど、美羽はいつも嫌味なく言うから嫌じゃない。
女子力の詰まったお弁当を美羽は美味しそうに食べている。
「いや、なんかさ、私…沙々みたいに可愛くないなーと思って。」
「な、何言ってんの!?」
美羽の方が断然可愛い!
だから
桐山も美羽を選んで…
「…………」
「沙々?」
「あ、ごめん!何?」
「ごめん……。沙々身長気にしてるんだったよね。」
美羽は面目無さそうにうつむいた。
もう…
ほら。
美羽ってこんなにいいやつなんだ。
だからこそ私の醜さが浮かび上がる。
「違うよ!ちょっとボーッとしてただけ!!」
「そう?良かった…」
今も、昨日のキスばかり思い出している。