私とキスと横恋慕。




え、飯島が殴られた?


じゃあ桐山が……



桐山が倒れていた方向を見ると、なぜかそこにはまだ桐山がいた。



「え?なんで…じゃあ……」



私の頭上に立つ人を見上げると、それは見知った顔だった。




「…沙々、待たせてごめん。」



「…っうぅ…み、


御岡くんっ……」




以前と変わらない、

私に向けられた優しい笑顔がそこにあった。



「御岡っ…てめぇ、裏切んのかよ!」


「裏切る?先に裏切ったのはお前だろ、飯島。

俺は最初から桐山の味方だ。

一人じゃ止めようもなかったけど、沙々を殴られて黙ってねぇよ。」


「てめぇ…!」



間髪を入れず教室の扉が開き、大勢の男が入ってきた。


「お、来たな。」


「な、なんだ、こいつら…」


数は飯島の勢力より遥かに多かった。


「急遽呼んだ俺らの仲間だ。

形勢逆転、だな。」


「…調子に乗りやがって!

やれ!お前ら!」




それからは案の定、不良同士の大戦争が始まった。

でも、それを見届けることなく、

私は気を失ったのだった。





< 173 / 277 >

この作品をシェア

pagetop