私とキスと横恋慕。
え、飯島が殴られた?
じゃあ桐山が……
桐山が倒れていた方向を見ると、なぜかそこにはまだ桐山がいた。
「え?なんで…じゃあ……」
私の頭上に立つ人を見上げると、それは見知った顔だった。
「…沙々、待たせてごめん。」
「…っうぅ…み、
御岡くんっ……」
以前と変わらない、
私に向けられた優しい笑顔がそこにあった。
「御岡っ…てめぇ、裏切んのかよ!」
「裏切る?先に裏切ったのはお前だろ、飯島。
俺は最初から桐山の味方だ。
一人じゃ止めようもなかったけど、沙々を殴られて黙ってねぇよ。」
「てめぇ…!」
間髪を入れず教室の扉が開き、大勢の男が入ってきた。
「お、来たな。」
「な、なんだ、こいつら…」
数は飯島の勢力より遥かに多かった。
「急遽呼んだ俺らの仲間だ。
形勢逆転、だな。」
「…調子に乗りやがって!
やれ!お前ら!」
それからは案の定、不良同士の大戦争が始まった。
でも、それを見届けることなく、
私は気を失ったのだった。