私とキスと横恋慕。
「ごめんね、沙々。
無神経なこと言った。」
私は首を横にブンブン振った。
「本当にこのまま別れるの?」
「…………。」
その質問なら、散々自分にしてきた。
でも何回答えを探しても、正解は見つからなくて、
何回か繕った答えも、行動に移す気になれなかった。
「正直端から見てたらすごいバカらしいケンカだよ?
桐山くんはただ沙々のこと守りたいだけなんでしょ?」
「うん…。
実はね、私このあいだ東高校の人とのケンカに巻き込まれたんだ。
桐山の彼女だからって理由で。」
それを聞いて初めて、美羽の顔が強ばった。
「なにそれ…巻き込まれたって…
まさか沙々、殴られたりしたの?」
「ちょっとね。」
私が頬を指差すと、美羽は泣きそうな顔をした。