私とキスと横恋慕。
顔の熱を両手で押さえながら、二人の会話を盗み聞きする。
「灘崎、さっきのノート見せてくんない?」
「ノート?いいよ。」
「わりぃな、寝ててさ。」
1年の頃から不思議に思ってたんだけど、桐山ってなぜか不良なのにみんなから恐れられていない。
実は成績上位者だからか、校内でケンカとかはしないからなのか…。
「そういや灘崎ってさ…」
ちょ、おいおい!
なんか二人の会話が弾み始めてるし。
これじゃあ私が灘崎くんに話しかける隙ないじゃん!!
「沙々ー。帰ろー。」
「え、あ、うん。」
美羽を振り返ったあと、もう一度二人を見ても会話が終わる気配はなかったので、今日は諦めることにした。
ま、別にいっか。
これからたくさん時間はあるんだし。
私は帰り支度をさっさと済ませ、美羽と一緒に教室を後にした。