私とキスと横恋慕。
こんなに振り絞って出した声が、
灘崎くんの時と比べてびっくりするくらい小さくて驚いた。
でも…
「何?」
届いた…。
私の顔がどんどん紅潮していく。
「行かないで…
私は…まだ…」
桐山は驚いたように目をまんまるくしてあたしを見た。
でも、冷静さを取り戻したように、
すぐに顔色をもとに戻した。
「俺たちはもう終わったろ。」
ずっしりとのしかかるその言葉にも私は踏ん張る。
「でも、私は好きだよ。」
「…っお前は、灘崎みたいなやつと付き合う方がいい。
あいつなら優しいし、優等生で…」
「それ以上言わないで…」
「灘崎ならお前を守れ…」バンッッ!!
保健室に乾いた音が響いた。
私が桐山の頬をぶったたいたのだ。
「てめ、何して…」バチンッッ!!
とどめにもう一発ひっぱたいた。
「いってえな!!てめぇ、何すんだよ!!!」
「うるさい!!!
あたしが不良に殴られた仕返しだ、ボケ!」
「っ…」
「これであいこだ!!
だから…
だから!!行かないで!!」
私の目からはポロポロと涙が落ちていた。
私は、次から次へと流れる涙を必死にぬぐい続けた。