私とキスと横恋慕。
「はぁ、はぁ…」
長かったキスが終わり、呼吸を整える。
ふと上を見上げると、同じように呼吸が乱れている桐山がいた。
久々にこんなに近くで顔見たな…。
私が桐山を凝視していると、
桐山の顔は珍しく赤くなり、
それを隠すように私を抱き締めた。
さっきまでの強引なキスとは打って変わって、
綿雪に触れるかのように優しく優しく抱き締めた。
「っ、相変わらずお前ちっちぇな。」
「っはぁ!!?」
キスの直後の感想がそれ!?
私が桐山をにらむと、
桐山はふっと笑いをこぼして、私の頭をポンポンっと軽く叩いた。
「お前、俺と別れてから何考えてた」
「え…」
「俺は…お前のことばっか考えてた。」
その台詞を聞いただけで、私の今までの苦しさも痛みも全部吹っ飛んだみたいだった。
「俺と違って、どんどん前に進んでくお前が、憎くて、羨ましくて…焦った。
灘崎と話せねぇように常にお前を意識して、神経すり減らせて、
それでも笑ってるお前が憎くて、でも…
好きで…」
この人は
こんなに弱々しい人だっただろうか。
こんなに…いとおしい人だっただろうか…。
「いっそ、誰のものにもならないように、
誰にも傷つけられないように、
監禁でもしてやろうかと思ったこともあった。
…気持ち悪いだろ?
俺から別れようって言い出したくせにな。」
私は桐山の肩に顔を埋めながら、
ブンブンと頭を横に振った。