私とキスと横恋慕。
「っくっ…はははっ…」
そ、そんな笑うことないだろーー!
私がこんなにキレたのは、桐山がいつまでも言い訳ばっかしてるせいなのに。
むしろ桐山の女々しさを笑ってやりたいくらいだよ!
なんで私がバカみたいに笑われなきゃいけないんだ…
「コホンッ、だからね、桐山…」
「くくっ…ははっ…」
「い、いつまで笑ってんだ!バカ!」
私がまた桐山をひっぱたこうと手を振りかざすと、
その手は華麗に制止された。
「すぐぶつなっての。ははっ…」
まだ笑ってるし…
「はぁ…ははっ、笑いすぎた。」
「私は本気なんだからね!」
「わかってるって…」
「桐山、もっかいだけ言う。
私のそばにいて。」
「はは…
笑いすぎて…
涙…
出てきた…」
桐山は大きい手のひらで自分の顔をすっぽり覆いながら、そう呟いた。
え、涙?
と私が確認する前に、桐山は私の肩を自分の方に引き寄せた。
「ありがとう」
桐山からは想像もつかないような言葉が聞こえ、
顔を覆っていた手で私を優しく抱き締めた。
抱き締められる形のために、涙は見ることができなかったけれど、
例え抱き締められていなくても、私の涙とまじって歪んで見えなかっただろう。