私とキスと横恋慕。
「お前が勉強してないことはなんとなく想定内だった。」
「な…なんで…」
「どうせお前、俺のことばっか考えてて、
勉強なんか意識の底だったんだろ。」
「ぐっぐぬ…」
図星…
「今から死ぬ気で勉強するぞ。
さっきお前がパニクってる間に竹内と会議してきた。」
「会議?なんの?」
「お前に留年されたら困るから、
テスト出そうなところ俺らで分担してまとめる。」
「え…」
「テスト期間の前半の科目が俺、後半が竹内。
最悪家庭科とか音楽は一般教養でカバーしろ。」
「か、か、か…」
「お前、聞いてんの?」
「神。」
「あ?」
「桐山!美羽も!お前らまじあたしの神様だよ。
助かった…
ホントにさっき、留年してクラスで『先輩』って呼ばれてハブられる未来が見えてたのに、
一気に光に変わったよ!」
「うっせぇな。
大袈裟なんだよ、いちいち。」
「そんなことないよ!
ホントありがとう!!」
「お前、一応受験生なんだから自覚持てよな。」
「はい!」
「竹内にも礼いっとけ。」
「はい!!」
「あと、」
桐山は私の耳元に口を寄せると、そっとつぶやいた。
「俺に夢中になりすぎ。」
「は!はい…!!?////」
「じゃ、ノート持って俺の席来い。」
「は、はい…」
私は桐山のイケボにすっかりやられ、
操られるようにノートとペンを持って彼のあとを追った。