私とキスと横恋慕。
「よし、じゃあ早速やるぞ。」
「はい!よろしくお願いします!!」
桐山の席の前に腰掛け、後ろを振り向く形でノートを広げる。
「じゃあ…まずこの公式を…」ピロロロロッ…ピロロロロッ…
「あ…」
「携帯。誰。」
「えっと…」
私は慌てて携帯の表示を見る。
『着信 御岡くん』
「あ…御岡くん…」
桐山をちらっと見ると、教科書に目を落としていた。
出ていいってことかな…?
「…もしもし」
「あ、沙々!?久しぶり〰️!」
恐る恐る出た電話の先には、
いつもと同じく明るい御岡くんの声があった。
改めて御岡くんが桐山のことを裏切っていなくてよかったと思う。
「久しぶり!
どうしたの?」
「今、桐山と一緒にいる?」
そう聞かれ、目の前に座る桐山を見ると、
思わず目があって、慌ててそらした。
「う、うん…。」
「ひとつ沙々からお願いしてほしいんだけど…いいかな?」
お願い…?
私を通してお願いするところから、
桐山とちょっとまだ気まずいのかなって思わせる。
なんかかわいい…。
「うん!いいよ!!」